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執筆者の写真Homare Yamamoto

事業承継の進め方⑭ 経営と資金繰り7 運転資本

こんにちは。所長の山本誉です。

新型コロナの感染拡大は、一向にとどまる気配をみせませんね。

ワクチンの接種も始まっていますが、すべての人に行き渡るまでには、

まだまだ時間がかかりそうですね。

いずれにしても、早く明るい社会に戻ることを祈念するばかりです。



さて、今回は、中小企業の資金繰りがを左右する「運転資本」について、

考察していきたいと思います。 9.運転資本(運転資金)

運転資本とは、企業が日常的な営業活動を営んでいくために必要な資金のことです。

前回の「ファースト・ペイの原則」や「資金化のプロセス」でみたように、企業の事業活動上、

資金の支出時期や入金時期の違いにより、資金不足という事態が起こり得る可能性があります。 その資金の支出時期と入金時期の違いによる資金不足のズレに相当するのが運転資本

(運転資金)です。


運転資本は、以下の計算により求めます。


 運転資本 = 売上債権 + 棚卸資産(在庫) - 仕入債務 

  ・売上債権:売掛金や受取手形など

  ・棚卸資産:在庫のことであり、原材料や仕掛品なども含む

  ・仕入債務:買掛金や支払手形など


そして、運転資本がプラスになる場合に、資金不足が起こる可能性がでてきます。


ここで重要なのは、取引が資金化プロセスにしたがって、①仕入、②売上、③在庫(売れ残り)

という順番で行われていることであり、買掛金の支払サイクルと売掛金の入金サイクルが

同じ場合、①の買掛金支払が先に必要になるということです。


逆に、運転資本がマイナスになっている状態とは、売掛金の入金サイトの方が、

買掛金の支払サイトよりも早い(買掛金の支払サイトが遅い)状態であり、

手元資金も増加しており、資金不足の恐れがない状態となっているということです。


まとめると、


(1) 運転資本がプラスの場合

売上債権の回収時期より前に、仕入債務を支払うようになっている状態であり、

資金不足が起きる可能性のある状態。

運転資本が増加すると利益が計上されても資金が不足して、黒字倒産を起こす可能性が

あるため、つなぎ融資や経営者借入などによる資金調達が必要となります。


(2) 運転資本がマイナスの場合

売上債権の回収時期に比べ、仕入債務の支払が遅くなっている状態。結果として、

資金不足の恐れがない状態です。

ただし、売上が伸びている時には、運転資本が少ないほうが資金繰りは楽ですが、

売上が減少し始めると、急激にキャッシュ不足に陥る可能性があります。


(3) 運転資本の減らし方

以上にみてきたように、運転資本の減らし方には大きく2つの方法があることがわかります。


① 売上債権を減らすか、棚卸資産を減らすか、仕入債務を増やす

ただし、仕入債務を増やしても、販売できなければ棚卸資産は増加するので、

その点に留意する必要があります。


② 売上債権の回収サイトを早めて、仕入債務の支払いサイトを延ばす


今回はここまでです。 【お知らせ】

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