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執筆者の写真Homare Yamamoto

事業承継の進め方② 事業承継とは2

こんにちは。所長の山本誉です。

もうすぐ新年度。年度末はなんだかバタバタしますね。

しかし、感染拡大は収まる気配がなく、新年度も感染防止に意識しながら、

自粛モードの行動が求められますね。

早く、明るい日常生活に戻ってほしいものです。



さて、今回は事業承継の3要素について説明したいと思います。


(1) 人(経営)の承継

人(経営)の承継とは、後継者への経営権の承継を指します。

会社形態であれば代表取締役の交代、個人事業主であれば現経営者の廃業・後継者の

開業というものが考えられます。


現経営者が維持・成長させてきた事業を誰の手に委ねるべきか、

適切な後継者の選定は事業承継の成否を決する極めて重要な問題です。


特に、中小企業においてはノウハウや取引関係等が経営者個人に集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績が経営者の資質に大きく左右される 傾向があります。


親族内承継や従業員承継において、後継者候補を選定し、経営に必要な能力を身につけさせ、

また後述する知的資産を含めて受け継いでいくには5年から10年以上の準備期間が必要

とされ、これらの取組に十分な時間を割くためにも、

後継者候補の選定は出来るだけ早期に開始すべきです。


また、中小企業における事業承継の現状でも触れたとおり、

近年は親族の中から後継者候補を見つけることが困難な企業も増加してきています。


このような場合において、会社や事業の社外への引継ぎ(M&A等)が、

事業承継の有力な選択肢の一つとして認識されてきています。



(2) 資産の承継

資産の承継とは、事業を行うために必要な資産(設備や不動産などの事業用資産、債権、債務、

自社株式等)の承継を指します。


会社形態であれば、会社保有の資産の価値は株式に包含されるので、

株式の承継が基本となります。


他方、個人事業主の場合は、機械設備や不動産等の事業用資産を、

現経営者個人が所有していることが多いため、個々の資産を承継する必要があります。


また、株式・事業用資産を贈与・相続により承継する場合、

資産の状況によっては多額の贈与税・相続税が発生することがあります。


後継者に資金力がなければ、税負担を回避するために株式・事業用資産を分散して

承継せざるを得ず、事業承継後の経営の安定が危ぶまれる等の可能性もあります。

そのため税負担に配慮した承継方法を検討しなければなりません。


さらに、例えば親族内承継においては、

株式・事業用資産以外の個人財産の承継や他の推定相続人との関係も視野に入れる必要が

あります。


また類型にかかわらず、現経営者個人の負債や保証関係の整理・承継を行う必要があるなど、

資産の承継に際して考慮すべきポイントは専門的かつ多岐にわたります。

そのため、資産の承継に向けた準備に着手する段階で、早期に税理士等の専門家に

相談することが重要です。



(3) 知的資産の承継

① 知的資産とは何か

知的資産とは、「従来の貸借対照表上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」です。


どのような規模、どのような状況の会社であっても、その会社から製品・商品・サービスを選び、

購入してくれる顧客がある限り、それぞれの会社にとっての知的資産があり、

事業運営に活用されています。


例えば、中小企業においては経営者と従業員の信頼関係が事業の円滑な運営において

大きな比重を占めていることが多いものです。


そのため、経営者の交代に伴ってかかる信頼関係が喪失することで、

従業員の大量退職に至った事例も存在します。


このような事態を防ぐためには、自社の強み・価値の源泉が、

経営者と従業員の信頼関係にあることを後継者が深く理解し、

従業員との信頼関係構築に向けた取組を行う必要があります。



② 知的資産の承継のために

上記のように、知的資産こそが会社の「強み」・「価値の源泉」であることから、

知的資産を次の世代に承継することができなければ、その企業は競争力を失い、

将来的には事業の継続すら危ぶまれる事態に陥ることも考えられます。


そこで、事業承継に際しては、自社の強み・価値の源泉がどこにあるのかを現経営者が理解し、

これを後継者に承継するための取組が極めて重要となります。


知的資産の承継にあたっては、

自社が保有する知的資産に気付くこと(知的資産の棚卸し)から始め、

その「見える化」を行うことが大切です。


この見える化の過程においては、

アウトプットとしてのレポートの作成を目的とするのではなく、

現経営者自ら自社の沿革や取組を振り返りつつ、

自社の強み・価値の源泉を「自ら整理」したうえで、

後継者等の関係者との「対話」を通じて認識を共有することが不可欠です。



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